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久世

Author:久世
元HNは「微雨」「雨月」でした。
「久世」に改名しましたが、どれも私には違いないのでお好きなHNで呼んでください。

・上の絵はまろさんに描いてもらいました!

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Category : メイン創作小説
最近書いた小説を溜め込んでるので投下。
私にしては珍しい空雨視点の小説。
私はアパートに住んでいて、せっちゃんも同じアパートに住んでいる。
だから、暇なときはよくせっちゃん家に遊びに行っている。
今日も勝手に上がり込むと、いつものようにソファーにきちんと座って読書しているせっちゃんがいた。
「やっほい。遊びに来たよー」
「………」
声をかけるも、その視線を一瞬こちらに移しただけで、すぐに本へと戻ってしまう。
お好きにどーぞという自己解釈をして、テーブルを挟んだ向かいのソファーに座る。
漫画を借りて読むのもいいし、のんびりお昼寝でもいい。
なにをしようかと考えていると、テーブルに置かれているものに気が付いた。
二枚の細長い紙を取ってじっとよく見てみる。
二枚とも上にはリボンが通されていて、縁をレースの模様であしらい、真ん中には薔薇の絵が描かれている。
派手というよりは大人っぽい印象。
なんだか上品で、お高そうなこれはしおりみたいだ。
しおりを両手で持って違いを見比べてみると、絵柄は同じ。
ただ、違うのはバラの色。
右手には艶やかな濃いピンクのバラが、左手には鮮やかな赤いバラが咲いている。
「返してください」
目の前に手が差し出される。
その手を辿って見てみると、本のページを左の親指で押さえているせっちゃんと目があった。
ああ、しおり使うのか。
「どっちがいーい?」
「どちらでも構いません」
「あっそ」
特にこだわりはないようで、私は何となく赤いバラのしおりを手渡した。
受け取ったせっちゃんは本に挟もうとしおりを乗せた。
「………」
だけど黙ったまま本を閉じようとしない。
私が不思議に思っていると、せっちゃんが静かに口を開いた。
「すみません…。やはり、ダークピンクの方で」
「ん?…あー、はいはいこれね」
このバラダークピンクって言うんだ。
全く暗いって感じはしないけど。
そんなことを思いながら、もう一つのしおりも渡した。
すると、今度は固まることなく本をぱたんと閉じた。

「ねぇ、これってどっかで買ったの?」
前はなかったからとせっちゃんが持っているしおりを指差して言う。
「いえ、先日職場の同僚からお土産に貰ったものです」
「こないだ言ってた海外に旅行した人?」
「ええ。ダークピンクのともう一枚を全員に配っていたようです。もう一枚の方は、人によって色が違う薔薇でした」
「ふーん…。なんで?」
その人の趣味だなんて言われちゃおしまいだけど、どういう意味があるのか気になる。
「花言葉だと言っていました。ダークピンクの薔薇は感謝だそうで」
「なるほどねー」
もう一つのは人によって花言葉を変えたのか。おしゃれだね。
その人はガーデニングが好きな可愛らしい女性とみた。
もしくはフラワーアレンジメント。
「で、赤いバラの花言葉は?」
「…さぁ?」
関心が無いみたいにさらりと流すせっちゃん。
まぁ、そんなことしたって私の目はごまかせないけど。
「じゃあ椿の花言葉は?」
「慎み深い、素晴らしい魅力ですね」
「パイナップルは?」
「完璧な貴方、完全無欠」
「パフィオペディルム」
「思慮深さ、変わりやすい愛情、変わり者」
「赤バラ!」
「…騙されませんよ?」
「ちぇっ」
誘導尋問失敗。
こんな様子じゃ言いたくないんだろうなぁ。

ソファーでごろごろしながら漫画のページをめくる。
せっちゃんの様子を伺ってみると、さっきとは別の本を読んでいた。
ただ、テーブルに置かれた赤バラのしおりが気になるようで、チラチラと何回も見ている。
それじゃあ読書に集中できないでしょうに。
「そのしおりをくれた人を想って気が気でないせっちゃん可愛い」
「そんな訳ないでしょう。頭かち割りますよ」
「おー、こわいこわい」
流石にせっちゃんで恋愛モノは無いかぁ。
じゃあ原因はなんだろうと考えていると、せっちゃんは本と入れ替えたしおりを持ったままぼーっとしてた。
「何故でしょう…。ずっと眺めていたくなるんです」
「お気に入りとか?」
「どうでしょうか…」
しおりの向きを変えたり、ひっくり返しながら首を傾げる。
どうやら、本人にも原因は分からないみたいだ。
「かーしーてっ」
てっ、の部分で半ば奪うようにしおりを取る。
せっちゃんは不機嫌そうに睨んでくるけど気にしない。
改めてまじまじと観察してみる。
パッと見て印象に残る赤。
バラの色は、部屋の照明の光を受けて明るく染まり、それでいて深い。
シックなデザインとは裏腹に、華やかなバラを見ても、やっぱり私にはただのしおりでしかなかった。
何でそこまでこれが好きなのか理解でなくてうんうん唸っていると、今度は私がしおりを奪われた。
「ちょ、勝手に取んないでよー」
「先に取ったのは貴方の方ですよ」
呆れたようにため息をつくと、手元にあるしおりに視線を落とした。
「…あ」
突然、せっちゃんの目が大きく瞬いた。
それから、独り言を呟くように。

「綺麗な赤ですね。…貴方の目によく似ています」

「………」
「………」
沈黙。
私はバチッと頭がショートしたように思考が止まる。
せっちゃんは我に返って夢から覚めたような顔をしている。
間に流れる微妙な空気に耐えられなくなり、思わず言葉を発した。
「…まさかの無自覚?」
せっちゃんはきょとんとして、それから、
「…そうみたいですね」
言葉の意味が分かったのか、苦虫を噛み潰したような顔をした。

それからも気まずさはまとわりついて、互いに口を閉じる他なかった。
どうしようかと悩んでいると、ガチャッと不意に玄関が開く音がする。
廊下を歩き、真っ直ぐこちらに向かう足音を聞く。
せっちゃんと顔を見合わせたとき、誰かが居間のドアの前で立ち止まった。
「遊びに来たよ。…って、どうしたの?」
ドアからひょっこりと顔を覗かせたれーちゃんが、不思議そうな顔をして言う。
「いえ、別に」
「何でもないよー」
平然を装う私たちに、れーちゃんは一度首をひねる。
「うーん、そう?ならいいけど…」
気のせいだと結論付けたのか、その後は深く問い詰めることはしなかった。
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