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久世

Author:久世
元HNは「微雨」「雨月」でした。
「久世」に改名しましたが、どれも私には違いないのでお好きなHNで呼んでください。

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抹茶味

Category : メイン創作小説
説の一日を書いた小説
書き終えたのは6月の上旬くらいだから結構前だったりする
「あれ?もしかして…説君?」
街中を歩いている最中、背後から掛けられた女性の声に振り返る。
「あ、やっぱり!久しぶり~」
「…お久しぶりです」
明るい栗色のセミロングに、白を基調としたワンピース。
にこりと愛嬌のある笑顔を浮かべるその人は、学生時代にあまり面識がない同級生だった。

「遅れて申し訳ありません」
喫茶店の窓際の席で、一人で優雅に紅茶をたしなむ先輩に謝罪をした。
彼女は視線をカップから僕へ移すと、向かいの席へ座るよう促した。
「いや、構わないさ。逆ナンでもされていたのだろう?」
「…すごいですね」
大体当たっている、と先輩に伝えると、
「へぇ。本当に当たるとは」
冗談のつもりで言ったらしい先輩は、少し意外そうな顔をした。
「それで、どんな話をしたんだい?」
先程あった出来事に興味を持ったらしく、質問を投げ掛けてくる。
こういう話が好きなのは、彼女もやはり女性だからだろうか。
「高校の同級生に声を掛けられました。メアドの交換とお茶に誘われましたが、断らせていただきました」
「それは残念だ」
淡々と話す僕を見て、興味を無くしたように紅茶を啜る。
それから先輩は考える素振りをし、ニヤリと口角を上げた。
「という訳だ。遅刻した罰として何か奢ってもらおうか」
「相手から話しかけてきたので僕は不可抗力です」
「ああ、継。丁度いいところに。特大スペシャルパフェを一つ」
僕の言葉をさらりと流し、偶々近くにいたオーナーを呼ぶ。
「了解。これまた凄いの頼んだな」
「一番高いものを注文するなんてえげつないですね」
文句を言うも仕方無く諦める。
先輩後輩の関係なんて、こんなものだ。
継さんは伝票に書き込むと、店の奥の方へ向かった。
「遅刻は遅刻。逆ナンされるほどの魅力がある自分を恨むんだな」
「その魅力を誰かさんに叩き込まされなければ遅刻しませんでしたが?」
「さぁ?誰だろうか」
目の前にいる誰かさんは、白々しく首を傾げた。

僕が先輩に呼ばれる理由の殆どは、仕事関係だ。
僕の職業は図書館の司書。
そして先輩はその図書館の館長だ。
長年付き合いがある為か、先輩にスカウトされてこの職に就いた。
「これが今月寄贈される本のリストだ。名前と場所を覚えておくように」
目の前に差し出された数枚の資料を受け取る。
表に敷き詰められた本のタイトルや場所を指定する記号にざっと目を通す。
寄贈される本は、恐らく三桁は越えるだろう。
「更にそれらを全て読破するのが一番望ましいが、流石に難しいだろう。だから、貸し借りが頻繁に行われそうな本を絞って読むといい」
そう言って先輩は一冊の本を取り出す。
分厚く重みのあるそれは、英語で題名が書かれていた。
「洋書ですか」
「世界的に有名な本だ。読んで損はしないだろう」
ファイルに閉じた資料と洋書を鞄にしまう。
そこでふと疑問に思った。
「先輩はリストの本を全部読んだのですか?」
「ああ」
「どのくらい時間はかかりました?」
「…一週間だったかな」
思い出すように答える先輩に対し、僕は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。

「お待たせしました。特大スペシャルパフェでございます」
テーブルに置かれたパフェは、色鮮やかなフルーツや三種類のアイスが盛られていて、その下に敷き詰められたシリアルとスポンジが層になっている。
普通の量なら美味しそうだと思うだろう。
しかし、甘味が苦手な僕にとって、目の前の先輩が見えない程に大きいパフェは、見ているだけで胃がもたれてしまいそうだ。
「ふっ、腕が鳴るな…」
先輩は細長いスプーンを装備して、戦闘体勢。
「あ、説。ちょっと待ってろ」
継さんは僕にそう言うなりキッチンへと姿を消した。
それから数分後に戻ってくると、テーブルに黒の茶碗が載せられた。
「試作品の抹茶だ。これにお好みでミルクを足して、抹茶オレにもできるやつを考え中」
「そうですか。では、いただきますね」
ふわりと抹茶が上品に香り、一口含むと広がる甘味と程よい苦味。
あとを引く独特の味わいに浸っていると、感想を求めている継さんと目が合った。
「…美味しいですね」
言葉が遅れるも、本心から感想を告げる。
「よっしゃ。説に言われるとなんか自信つくな」
と、継さんは嬉しそうにガッツポーズをした。
それからズボンのポケットを探り、その手を僕の前に差し出した。
「抹茶味の飴。味見してくれた礼だ」
継さんは家族連れの子供に、よくサービスとして飴を配っている。
本人曰く、そういうことが趣味らしい。
喫茶店の客にロリコンショタコンと噂される中、本人は子供好きと言い張っている。
成人している僕が受け取ってもいいのかと迷った挙げ句、
「ありがとうございます」
と言い素直に受け取ることにした。
「何やら楽しそうなことをしているね。私も混ぜてくれないかい?」
二人の会話に、先輩が口を挟んだ。
「お、抹茶の味見してみるか?でもパフェが…」
言いかけた言葉が途切れる。
僕も継さんも唖然と先輩を見つめる。
「パフェがどうした?もう食べてしまったのだが」
平然としている先輩を横目に、継さんは小声で僕に問いかけた。
「あれ、いつの間に大食いキャラになってたんだ?」
「僕も初めてですよ。こんな先輩」
「つーか人間?ありゃ化け物だろ」
「作者に問いただしてみたところ、歴とした人間だそうですよ」
「うわぁ、あっさりパフェ攻略されるとか泣けるわ。俺頑張って作ったのに」
「御愁傷様です」
先程もだが、先輩の恐ろしさを改めて感じた。

それから数十分後、僕は喫茶店を出た。
喫茶店から離れるように街中を歩いているとき、ふと空を見上げた。
日が隠されて一面灰色の空。
天気予報では、明日は雨が降るそうだ。
そういえば、とポケットから飴を取り出す。
そしてそれを暫く見つめたあと、カサリと包みを剥がして口に含んだ。
「…甘い」
そう呟くものの、この味は嫌いじゃないと思った。
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