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久世

Author:久世
元HNは「微雨」「雨月」でした。
「久世」に改名しましたが、どれも私には違いないのでお好きなHNで呼んでください。

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バレンタイン小説(説+空雨)

Category : メイン創作小説
バレンタインの小説一つ目
余裕があれば四季バージョンも書くよ
今回は両方ともチョコを作るお話です


冬晴れで空が水色一色の昼。
僕はいつものようにソファーで本を読んでいた。
いつもとは違うところと言えば、部屋がチョコレートの甘い匂いで満たされていること。
その原因となる人は、鼻歌混じりにキッチンでボールをかき混ぜている。
僕のいる居間とキッチンは、いわゆるダイニングキッチンというやつだ。
壁が大きく四角に切り取られていて、ここからキッチンの様子が伺える。
歌っている鼻歌は、最近音楽番組で聞き覚えがあったもの。
しかし、歌手も曲名も思い出せなかったので、思考を中断し本へと顔を向けた。

キッチンでお菓子を作っている人。―空雨は、早朝僕の家に押し掛けてきた。
「おはよー、キッチン貸してー」
そう言うなりスーパーで買ってきたであろう材料をキッチンに置き、てきぱきと調理器具を取り出している。
空雨が僕の家で料理をすることは、よくあることなので無視。
キッチンの棚に空雨の調理器具が勝手に置かれていることも、特に支障はないので無視。
「何を作るんです?」
僕達の間には、キッチンを使う代わりに作った料理をお裾分けするという暗黙のルールがある。
それに、性格はアレだけど、空雨の料理は絶品だ。
何を作るのか気になるには十分な理由だろう。
「えーっと、今年はねー。生チョコとチョコタルトだよ!」
「帰れ」
今日は2月12日。
休日であり、バレンタインのチョコを作にのは適している日だ。
ただ、この場所はチョコ作りに適していない。
…何故なら、僕は甘いものが苦手だから。
「嫌だよー。もう料理の準備しちゃったのに」
「よりにもよってお菓子だなんて…。それは僕に対する嫌がらせですか?」
「えっ!何で分かったの!?」
「帰れ」
ここから口論になったことは言うまでもない。

そして、現在へと戻る。
チョコを溶かし終えた空雨は、ラップを敷いた底の浅い容器に流し入れて冷蔵庫で冷やした。
湯煎で使われたコンロ付近にはチョコと生クリーム。
その他にホワイトチョコや抹茶、ストロベリーパウダーなどが置かれている。
その量から見て、まだまだ作る気なのだろう。
「空雨、何時間ぐらいかかりますか?」
「そんなにかからないと思うよー。多分3時間ぐらい」
「そんなにかかるじゃないですか」
「ふ~ん、ふふ~ん…」
でたらめな鼻歌を歌って、聞こえないふり。

「なぁなぁせっちゃん」
「何です?」
キッチンから名前を呼ばれ、返事を返す。
「その本面白い?」
「面白いというか、勉強になりますね」
本のページをめくると、章のタイトルには『精神が幼い大人の特徴』と書かれている。
そして本の上には細かい活字が敷き詰められている。
「んじゃ、私も読めば頭よくなりそーだね!貸して!」
「挿絵一つもありませんよ?」
「うへぇ…。やっぱあとで漫画貸してよー」
「はいはい」
空雨が読みたくなくなる気持ちも分かる。
面白いか面白くないかと聞かれれば、正直言ってこれっぽっちも面白いとは思わない。
本を『楽しむだけのもの』ではなく、『知識として蓄えるもの』として読むのならば、とても参考になるのだけれど。
僕としては、やはり楽しむための物語や推理小説の方が好きだ。
この本を読み終えたら小説でも読もう。
そう考えながら、目で文字を追った。

本を閉じる頃には時間も過ぎ、部屋の匂いには抹茶やイチゴも混ざっていた。
生チョコからタルト作りへ移っている空雨を横目に、僕は自室へ向かう。
本棚は居間と僕の部屋に置かれている。
居間の本棚には、漫画や文庫本など、空雨と麗也が読むジャンルが中心。
これは何回かの本の整理や、2人(主に空雨)がそれぞれ自分の本を置いていったことを繰り返した結果だ。
そして2人(ほとんど空雨)に追い出された僕の本は、自室の本棚に収まることになった。
本の入手方法としては図書館の利用がほとんどであり、その中で気に入ったものは自分で購入している。
その他の方法は、先輩から本を貰う事(押し付けられるとも言う)。
先輩の本は哲学めいたものから洋書や怪しい本まで、どれもこれも難しいものばかり。
初めは読むのに苦労したが、今ではすっかり読み慣れてしまった。
ちなみに、手にしているこの本も貰い物だ。

「せっちゃん、せっちゃん!」
推理小説を持って居間に戻ると、気持ち悪いくらいに爽やかな笑顔の空雨が手を招いていた。
「次に、このチョコをタルト生地に流し入れて焼きまーす」
「そのタルト生地がありませんが」
料理番組のような説明に口を挟む。
キッチンのどこを見ても、溶かされたチョコだけでタルト生地は見当たらない。
無ければ作るしか無いのだが、寝かせたり焼いたりするためかなりの時間がかかってしまう。
どうするのだろうと思っていると、ちっちっちと指を振り、冷蔵庫の扉に手をかけた。
「既に出来上がっているものがこれです!」
無駄に流れるような仕草でタルト生地を取り出した空雨は、上へ掲げた。
そのどや顔が最高にウザい。
「これがやりたかっただけですか?」
わざわざ僕を呼び出しておいて?
「うん!」
「そうですか…」
子供のように元気に頷く空雨に、僕は冷たい視線を送った。

「あ、ちょっと待ってて」
「?」
居間へ戻ろうとする僕に、オーブンで温度と時間を設定しながら話しかける。
「生チョコできたから、味見してくれない?」
「ああ、わかりました」
タルトを焼き始め、生チョコを取るために冷蔵庫に向かう。
その動作を見ているとき、ふとあることが思い付いく。
一般的には単なる好奇心で行ういたずら。
どんな反応をするのだろうかという些細な事。
「空雨」
「ん?」
皿を持った空雨が振り返る。

「愛してる」
噎せ返る程の甘ったるい空気を吸い込みすぎて脳がおかしくなった、と言い訳をさせてほしい。

「え?あ、は…はぁぁぁぁ?!」
ピタッと石のように固まったかと思えば、皿を落としそうになり慌てる空雨。
茶化さずに本気で驚くところはなかなか見ることができない。
予想以上の反応に僕は、ざまぁみろと心の中で呟いた。
「う、わぁ、すげーイケメンボイス!録音しときゃよかったなぁ~」
へらへらと冗談を冗談で返す余裕があることから、流石の復活の早さだなと思った。

それから、空雨は僕の目を覗き込み、少し考えるような仕草をする。
僕の方が身長は高い。よって、自然に空雨が上目遣いになる。
そうだとしても、全然、これっぽっちも、物凄く嬉しくない。
「嘘つくの上手くなったね、説」
ぽつり、聞こえるか聞こえないかぐらいの大きさの音が溢れた。
空雨は僕の言葉にではなく、僕の表情に驚いたようだ。
前に、僕が嘘をついているときに、目に僅かな変化があると空雨が言っていた。
その変化は空雨にしか分からないらしい。
他の親しい人(麗也や先輩)は、ただ違和感を感じるだけだそうだ。

「………」
「………」
沈黙が続く。
お互いに話そうとする素振りもなく、顔を合わせる形で停止している。
空雨の目は、いつもの好奇心で満ちてきらきらと輝いているものとは違い、ただ鏡のように僕を映すだけだった。
「どう…」
どうしたのですか、と口を開いた、その時。
キラリと空雨の目が光る。
まさにこの時を待っていたかのように。
本能的に身を引こうとしたが、遅かった。
「そいやあああっ!!!」
全力で叫びながら、僕の口に指をねじ込ませた。

勢い余って喉まで突かれ、吐き気がする。
指はすぐに抜かれたが、喉の感触と、同時に入れられたものに眉をひそめる。
どろりと溶けて、しつこく口内に残り。
…そして、何よりも。
「げほごほっ!」
思わず口を押さえて咳をする。
その手には、吐き出されたドロドロのチョコレートが付着していた。
「にひっ。通常の何十倍も甘いチョコ作っちゃった」
胸が焼けそうなくらい甘過ぎる。
これ、絶対変なの混ざってるだろ。

「けほっ…。ば…っか、ごほごほっ!」
「ありゃ、効果抜群だね~」
言葉を出そうとしても、咳に遮られて上手く話せない。
「ねぇねぇ、写真撮っていい?」
その場で崩れ落ちた僕を、携帯片手に上から目線で言う空雨。
楽しそうな声に苛立ちを覚え、一発殴ろうかとも思ったが、上手く力が入らなかった。
ああ、畜生。

「せっちゃんもチョコ食べるー?」
「結構です…」
向かい側に座り、生チョコを頬張る空雨を見たあと、ソファーに顔を伏せる。
テーブルには試食用の色んな味の生チョコと、二層に分かれているチョコタルトが置かれていた。
「めちゃくちゃ甘いチョコはあれ一個だけだから、これは大丈夫だよ?」
「………」
喉の奥には、まだべったりとチョコがこびりついているような感覚がする。
この状態でチョコを食べれるはずがない。
「せっちゃん」
「………」
名前を呼ばれるが、無視。
どうせくだらない話なのだろう。

「愛してる」
耳に届いたのは、中身のない空っぽの言葉。
顔を上げて空雨を見る。
「やっとこっち向いてくれた」
安堵の表情を浮かべながら、微笑んだ。

「せっちゃん」
「はい?」
名前を呼ばれ、今度は返事を返す。
どうせくだらない話なのだろうが、わざわざ僕の気を引いたということは、空雨には大事なことなのだろう。
「さっきはごめん。あんなに甘いものがダメだとは思わなかった…」
今もうなだれている様子を見て、流石に反省しているようだ。
いつもならペコちゃんみたいに舌を出して、語尾に星をつけて謝るのに。
あの全く反省してない謝り方はむしろ挑発してるとしか思えない。
「次からは気を付けてくださいね?」
「はーい。今度は甘さを調整するよ…」
「まだやる気ですか」
おかしい。
本気で反省してるのにそう聞こえない。

「まぁ、だから」
空雨が真剣モードのまま、しゃきんと背を伸ばす。
「バレンタイン…、甘さ控えめなチョコ、せっちゃんの為に作ったんだ」
段々肩が下がり、それと同時に声もすぼんでいく。
赤い瞳が消えそうな程に揺れる。
「だから、」
「空雨」
びくっ、と言葉を遮られ体が跳ねる。
恐る恐る、視線を向ける空雨と目が合った。

「楽しみにしていますよ」
「…!」

ぱあっと空雨の表情が明るくなる。
「おー!結構自信作なんだよ!」
さっきのしんみりとした雰囲気は何処へ行ったのやら。
一瞬でいつもの空雨に戻ってしまった。
落ち込んでいるところはあまり見せないため、少し惜しいのだけれど。
やはり、空雨にはアホなくらいとびきりの笑顔が一番だと思った。











後書き

中盤は授業中にこっそり書いたものを修正しながら書きました
後半は駆け足になっちゃったかもしれません
携帯で直接書くより一旦別のところでまとめておいた方が内容がしっかりするかもしれない

今回は説と空雨でどれだけ甘くできるか挑戦しました
まぁ、相変わらずの恋愛感情の無さですけど
むしろ2人の間にそういうのを求めちゃダメですね
「愛してる」って言っても嘘なのバレバレですし
そのうち2人の恋愛事情を小説にしてみようかな
とりあえず、作者としては書けて満足
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