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久世

Author:久世
元HNは「微雨」「雨月」でした。
「久世」に改名しましたが、どれも私には違いないのでお好きなHNで呼んでください。

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「観覧車に乗ろう」

Category : サブ創作小説
わたしは、夜中にこっそりと家を抜け出しました。

瞬く星を見上げながら、歩く道は好ましく思います。

ひんやりとした夜風が心地よいのです。

わたしは、夜中にばったりとあなたに会いました。

随分と久し振りの再会です。

わたしの知らない今のあなたは、とても大きく見えました。

見上げて、あなたに言います。

「観覧車に乗ろう」

わたしはあなたの戸惑う表情を気にせずに、手を引いて走り出しました。

きらきらと光る、遊園地を目指して。

次第にあなたも足並みを揃えて、わたしの隣を走ります。

昔は、いつも隣にあなたがいました。

こうして一緒に走ることはなかったかもしれませんが、一緒に笑ったりはしたのです。

またあなたの傍にいることができて嬉しく思います。

とても、とても、嬉しい。

わたしは一生、この出来事を大切に抱えて生きていくことになるでしょう。

観覧車を目の前に、わたしたちははしゃぎます。

まるで、子供の頃のように。

天まで届きそうなくらい大きな観覧車は、イルミネーションがきらきらと輝いています。

無人の観覧車に乗り込むと、ゆっくりと動き出しました。

少しずつ、少しずつ。

小さな町並みから雲の上へ、景色が変わっていくのです。

「怖いの?」

高いところ。と、続けてあなたは質問しました。

わたしは膝の上においていている手を握り締めて、頷きました。

それでも、手の震えは押さえきれません。

「でも、乗りたかったの。あなたと」

あなたはくすりと笑いました。

それは、呆れたように。

もしかしたら、慈しむように。

そしてそっと、わたしの手を、その大きな手のひらで包み込みました。

心地よい体温が伝わってきて、心までも温かくなりそうです。

見上げて、あなたと視線が合います。

急に目が合ったので、互いにびっくりして顔を逸らしてしまいました。

しかし、それが何故だかおかしな行動に思えてきて、同時にくすくすと笑いだしました。

体の震えは、すっかり収まっていました。

丁度、一番高いところまで観覧車が到達しました。

まんまるに輝く今宵の月は、とても綺麗です。

「楽しいね」

あなたのその言葉が、なによりも嬉しいものでした。

妙にむずむずして、心が落ち着かないくらいです。

それから、ぽたり。ぽたり。

わたしの目からは、一粒、二粒と涙が流れます。

ああ、泣くことは我慢しようと思っていたのに。

心配するあなたに、大丈夫だよと告げました。

だけど、いつもあなたの前のわたしは、泣き虫なようです。

幼い頃にあなたと喧嘩したときも、わたしの思い通りにいかなくて悔しい思いをしたときも、あなたの前では大粒の涙を流して情けない姿を見せたものです。

でも、良かった。

最後にあなたに見せる涙は、嬉し涙です。

ゆっくりと、時間をかけて観覧車は下りてゆきます。

わたしとあなたは一言も言葉を交わさずに、外の景色を眺めていました。

しんと静まり返っていましたが、その沈黙はとても穏やかでした。

観覧車が一周すると、自然と停止してドアが開きます。

外へと降りたあなたは、大きく伸びをしました。

それからだんだん明るくなっていく空を見上げます。

朝が近づいてきます。

あなたはわたしが観覧車の中から出てこないことを不審に思いました。

「もうすぐで太陽が昇ってくるよ。一緒に見よう、出ておいで」

わたしは首を横に振りました。

ドアが勝手に閉まり、寂れた観覧車は動き出します。

ぐるり、ぐるり、ぐるり。

観覧車は思い出を巡らせながら回ります。

いとしきあなたへ。

あなたはここにいるべきではありません。

わたしの頬に、一筋の涙が伝いました。



愛しき貴方へ
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