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久世

Author:久世
元HNは「微雨」「雨月」でした。
「久世」に改名しましたが、どれも私には違いないのでお好きなHNで呼んでください。

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紫陽花ネタ(2)

Category : 主観的思想
前回とはまた別な感じ
キャラについての簡単な説明は主観的思想カテゴリーから記事を探しあててください
(2)とか書いてあるけど続きはない
桃色水色の話

ここは図書館です。ずっと昔から設立されており、何回も改装を重ねて、今ではとても大きな建物になっています。私は今日も、図書館に足を踏み入れます。それが日課なのです。


ある人たちは、私のことを色の名前で呼びます――桃色。私の象徴する色は、桃色です。温厚、正義を司っています。


図書館には、座って本を読めるよう椅子や机が設置されています。その一番端、一番隅の方に、あの人がいるのです。水色のその人は本を広げて本を読んでいます。呼吸をする音も聞こえないくらい、とても静かです。
「こんにちは」
少しだけ微笑んで、挨拶をします。水色の人は目線を上げずに軽く会釈をするだけです。私は気にすることなく、目的の本を探しに歩きます。そういうものなのです。


今日は、純文学です。厚さはありませんが、ぎっしり内容が詰まっています。マスターが読んだ本です。
「ここに座っても良いですか?」
図書館ですので、小さな声で水色の人に話し掛けます。私の指定する席は、彼女の斜め向かい側です。彼女は黙っています。席を立って別の場所に移動をしないということは、肯定を表しています。私は一言礼を述べて座りました。


かりかり。シャーペンを滑らせる音がします。本から顔を離して栞を挟むと、水色の人が何かを書いています。真っ白なルーズリーフに、水色のシャーペン。彼女の手が止まると、目の前に紙を差し出されました。

"マスターが孤立したいと思ってる。友達もネットもいらないって。一人になりたいって"

さらさら。私は桃色のシャーペンで返事をします。

"原因は何でしょう? 最近目立った他人とのトラブルは見受けられませんが"

"無いよ。理由は無い。ただ、一人が好き。マスターは、一人で山に籠って、一人で生き絶えるのが好き"

"それはまだ早すぎます。マスターはまだまだ未熟です。成長するには他人との関わりが必要で、年を取るまで利用し続けることが最善です。それはきっと、人間との付き合いが嫌いなマスターも理解していると思います"

"じゃあ、必要ないから。マスター、無駄は嫌いだから。要らないものは捨てようとするから"

"それなら納得できます。マスターは道具は最低限、または足りないくらいでも満足できますから。逆に多すぎたり、高機能だとマスターを駄目にしてしまいます"

かりかり。さらさら。
静かな空間に筆談をする音だけが響きます。
かりかり。さらさら。こつこつ。
芯を紙に擦り付けるものとは別の、靴で床を叩く音がします。
こつこつ。こつこつ。音は大きくなり、やがて私たちの前に姿を表しました。
こんにちは、と。司書の人です。穏やかな笑みが好印象を与える成人男性。私も同じ挨拶をしました。水色の彼女は、司書の存在など気にも留めず、かりかりと文字を書いています。
司書と雑談をしたあと、彼は仕事に戻りました。仕事も大切だけど、利用客との交流も同じくらい価値のあることだと言っていました。もしかしたら彼にとって単なる世間話も、仕事の一部なのかもしれません。

「ワザ。ワザ」

司書の背中を見ながら、水色の人はそう呟きました。


「ねぇねぇ、何してるの?」
ひょっこり。現れたのは赤色の子です。いけませんよ、図書館では静かにしなければ。
「しー。筆談をしているところですよ」
「筆談! ぼくもする!」
人差し指を口にあてて静かにして欲しいと伝えるも、言うことを聞いてくれません。目を星のようにきらきらと輝かせています。水色の人は、赤色の子なんていないかのように、紙に猫ちゃんの絵を描いています。
赤色の彼女が紙を奪い取って、文字を読み始めました。

"マスター、見えない信頼より金で量った方が人を信じられるって"

"理想とするものは時間をかけて信頼を築くことですよね。それが不可能だと諦めを感じてしまったのでしょうか?"

"多分。将来孤立を目指すマスターには不要。だったら金で関係を買えた方がいい"

"私としてはあまり良い方法ではないと思いますが……。その方が互いの利益がはっきり分かりますし、裏切られるということはないでしょうね"

"人間一人じゃ出来ないこともある。社会で生きるなら特に。でも、必要なのは絆や縁とかじゃなくて、利用できる能力"

"では、今マスターと関わりを持っている親しい人たちは? 道具と呼ぶには情を掛けすぎていますよ"


「ねぇ、これって」
赤色の子が顔を上げました。そして紙をひらひらとさせながら続きを言うのです。
「ただマスターが自分に自信がな――」

ガタン!

二重奏。声を掻き消すように、私と水色の彼女が立ち上がりました。
いけません。いけませんよ。彼女を睨めつけます。
彼女はきょとんとして、それから首を捻りました。一体何がいけなかったのかと。

「ワザ。ワザ」

水色の人は呟きました。
にいっ。赤色の子が、三日月を横に倒したように口を歪めます。
視線を落とすと、栞を挟んだ私の本が見えます。『人間失格』という題名の本でした。
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